奈な 東京
KITTEというビルの中にある、おばんざいのお店。京都料理大好きーばんざい。
生麩の田楽や切干しといったおばんざいだけでなく、牛ハラミや銀だら、土鍋ごはん、筍、お豆腐、お刺身、おにぎり、和食をこれでもかと選ばせてくれるお店。明日の朝早いので断念したけれど、日本酒も焼酎もたくさんあった。くそう。
愛する湯葉の刺身に柚子が入っていた。さよなら、さよなら。どうして細かく刻んでしまうの。
東京駅のタクシープールが見える外向きの座席やカウンター、少し高めの椅子だけれど不思議とくつろげるお店。店員さんもたくさんいて、行き届いていた。
土鍋ごはんは40分かかるそうで、先に頼んでおくといいです。後先考えない私はこういうことが多い。先に教えてほしい。
芋コロッケが安くておいしい。お酒をあまり飲まない方には緑茶がおすすめ。一味違う。
とにかく注文に迷って迷ってしまう。お刺身を頼むのがもったいない。
今日一番はきんきの炙り焼き。きんきの上に揚げた青のりがまぶしてあって、レモンと蕗味噌で食べる。この蕗味噌が抜群。青のりと一緒に多めに絡めて食べると、ふくよかな香りが広がる。まだまだ知らない食べ物がたくさんあるなあ。
珈琲雨水 阿佐ヶ谷
風通しが良い。風が強い日だったので、少し寒い。
薄暗い店内にところどころ、草が生えている。そのせいか、梅雨のような自然の匂いが充満している。じめっとした空間にコーヒーの匂いはやけに映えて、観光地でひときわきれいな額アジサイを見つけたような気分。
ストレートコーヒーは週替わり。ラインナップにあるとつい、エチオピアを頼んでしまう。このお店はかなり深煎り。(珈琲トラムというところの豆を使っているらしい。)
少し冷めてから苦味が落ち着いて、エチオピアらしいハーブとシトラス感が前面に出てくる。繊細なのに情報量が多くて、ここのエチオピアは特に舌先と喉がピリピリする香辛料のような刺激もある。
一緒に頼んだチーズケーキはバニラアイスのようになめらかで、コクが強い。意外とエチオピアとも合うけど、紅茶の方がよさそう。ダージリン。
ダークブラウンの色調とアンティークな間接照明、少し大きめにかかっているジャズ、レモン風味のお水、日本の喫茶店らしさというのかな、陰影に富んでいる。挽きたてのコーヒーを淹れる香りが漂って、深みが更に増してくる。
この空間には文字が似合うのだ。どんな本でも、書き仕事でもいいけれど、とにかく何か言葉を飲み込むのに使うといい。
なおパソコンは使用禁止とのことなので、ご注意を。
KUMARI 阿佐ヶ谷
実は辛い物が嫌いなのだけれど、インドカレー屋さんにはつい入ってしまう。
インドカレーの辛さは唐辛子系よりスパイスの匂いが強い。スパイスは私の中では中世ヨーロッパのイメージなので、物々交換で物を手に入れている感覚がカレーで味わえる。
お店は近所の家族連れや夫婦で賑わっていて、私のように一人の客はあまりいない。店員さんはもちろんインド人(たぶん)で、時々なんて言っているのかわからなくて、それもまた物々交換の感じ。
種類がいっぱいだーいつもバターチキンカレーを頼んでしまうのだけれど、限定10食のホームメイドカレーを頼む。トマトベースらしい。
ライスかナンか選べるけれど、インドカレーといえばナンではないでしょうか。ナンのこと考え始めると、しばらく頭が支配される。あんなに包容力があって、単体でも美味しいものは少ないと思う。あと日本語がナンに支配される。ナンということでしょう。
今日はあまりに疲れていたから、マンゴーラッシーも一緒に注文した。
ナンだこれは!でかい!
茗荷谷にあるインドカレー屋さんが世界一おいしいと思っていたけれど、ここは同じくらいおいしかった。野菜と生姜がたっぷり、しかもあまり辛くない。ルーが足りないくらい大きいナンは少し油っぽいけれど、香辛料と油はよく合う。何とも言えないハーモニー。ナンともいえない。
いろんな種類のナンがあるけれど、プレーンナンが一番味わい深い。でもナッツ入りも気になるので次は頼んでみよう。
いろは 池袋
最近、牛かつ屋さんが増えている気がします。
秋葉原にある一二三という牛かつ屋さんと、メニューも非常に似ている。わさびと醤油、特製わさびダレ、あとは塩やソースで食べる。これも一緒。
秋葉原に比べてちょっと明るい味だった気がする。お店の明るさかな。
牛かつは薄く衣をつけて、中身はほぼ赤いまま提供される。一人ひとつ石焼きがセットされていて、好みの具合で焼きながら食べる。
できてすぐの頃訪れて、数か月後にまた来ると大行列になっていた。夏は暑いし、地下で電波も悪いので、一人で行くと暇つぶしが困難。
1000円ほどで満足するまで牛肉を食べられるお店はなかなかないから、いつも混んでいるのだろう。店内はさほど広くないし、焼きながら食べるので少し回転も悪い。
レジの店員さんが丁寧で、いつもいい気分で帰れる。また来ようって思う。接客って大切。
人は去り際が大切だ。客でも店員でも、先輩でも後輩でも、友達でも恋人でも。気持ちよく別れればまた会いたいって思うし、そうじゃなければ、偶然に頼るしかない。そしてその偶然は、決して良くない偶然だ。好きな人も嫌いな人も、次を想像できない別れはだからしんどい。そうなってしまった人とのつまらない会話や、やるせない空気よりも格段に。だからこそ、去り際だけでも仲の良いフリをすれば、偶然って言葉が急に愛おしくなる。
私は今、偶然って言葉が大好き。最初の偶然さえ起これば、こうして素敵なお店や人と二度目の偶然を待てるから。
一兆 阿佐ヶ谷
個人経営の、古そうなラーメン屋さん。ラーメン通ではないし、こだわりがあるわけじゃないけれど、阿佐ヶ谷のラーメンならここが一番おいしい。
白とんこつラーメン、つい頼んでしまう。ホワイトシチューとかホワイトチョコとか、白いものが好き。白以外の食材も白いものも、なんだかおいしそうに見える。気のせいでしょうか。普段は苦手なメンマですら、ちょっと欠かせないものになってしまう。
帰り道にあるお店だから、仕事が遅い日の帰りとか、飲んだ帰りとか、よく立ち寄る。必ずお客さんが8割以上いて、満席のことも多い。
店員さん一人で大変だーって思っていたら、先日体調不良で何日か休業していた。背中の持病だそうで、これからも休むことがあるそう。無理なさらないでください。
私も接客業だけれど、身体を壊したらそれまでなんだ。どんなにやりたくてもできない。
こういういいお店を、どうやって残していけばいいんだろう。私にできることはほとんどない。開いているときにラーメンを食べに行くことしかできない。くやしい。
10°café 高田馬場
学生が運営する、不完全さが売りのカフェ。売りにはしていないけれど。
2階に座ると、注文を取るまでに10分、コーヒー一杯運ばれるのに10分、たっぷり時間がある。常駐する店員がいないので、行き届かない。けれどそれが居心地の良さにもなるから不思議だ。
必ずマックブックを持った学生が一人で作業していて、複数の学生が話し合いをしていて、あるいは学生街にあるべき店なのかもしれない。
運ばれてきたラテの泡は冷めている。ラテアートはきれい。軽食メニューは少ないけれど、季節によってけっこう変わるからちょっと楽しみ。
全席電源があって、wi-fiがあって、現代人が彼らの感覚でお店を作っている。でも趣向が強すぎることはなくて、カフェといえばこういうものがあるよねってものが集まっている。
それでも私は月に一度はここに来て、なんだか満足して帰る。ラインナップが毎回変わる雑誌や音楽や、店員さん。その移り変わりがなんだか緊張を解きほぐして、悪くない気分にしてくれる。
コーヒーが特別おいしいわけではなく、食べ物にこだわっているのでもない。オシャレなんだけれど気取らない(気取れない)、でもこういうところで時間を過ごしたい人が利用して、運営している。
繰り返すけれど、この不完全さが売りなのだ。
一夜一夜 東京
丸ビルの中にあるお店です。緊張します。
でも中に入ると薄暗い優しい空間で、ゆったりできた。
ご飯にこだわっていて、ご飯にあう食べ物や日本酒がたくさん。ご飯は30分くらいかかるので早めに注文しましょう。
火鉢が中央に運ばれてきて、いい具合の炭火が卓を温める。エリンギやししとうや茄子。おいしいお野菜を炭火が更においしくする。
魚の種類もたくさん!私は臆病だから定番のホッケにする。干物って書いてあったけれど、切り身で生に近い感じ。ホクホク。醤油も塩も七味もおろしも全部合うよーどれでもいいー。
炭火はなかなか焼けないから、たくさん話ができる。焦げ付きもしづらいし焼く音もしない。
店員のお兄さんもしっかりとしていて、丸の内の人々が好きそうな感じ。もっと大人になったらもっといい店になるんだろう。
今日は職場の先輩と、ちょっと嫌な話をたくさんした。悪いところを悪いって言うことは難しいはずなのだけど、それを何とも思わない人々。彼らが一番是正されるべきなのに、それがなかなか叶わない。
私は正しい人になれているのかな。少なくとも、彼女の話を聞いて納得できたから、間違いに気づかないわけじゃないかな。
それならいいや。大体できている。